社内資料 / 2026-08-23
Cloudflare Fundamentals 解説

Cloudflare(クラウドフレア)とは
インターネットの「中継駅」

Cloudflare は世界最大の接続クラウドネットワークの一つで、世界中のウェブサイトとアプリを速く・安全にしてくれる仕組みです。ブログ運営者から大企業まで、数百万のサイトがこのネットワーク上にあります。このページは公式ドキュメント(Fundamentals 章)の内容を、専門知識がなくてもわかるように日本語でまとめたものです。

5,500万
毎秒の平均 HTTP リクエスト処理数
数百万
Cloudflare 上のインターネット資産(サイト等)
毎日
数万件ずつネットワークに新規参加

01  まずざっくり:電話帳と中継役

Web サイトが動いている世界では、ドメイン名(例: cloudflare.com)とIP アドレス(例: 103.21.244.0)という「サイトの住所」が常にセットになっています。人間は名前を覚えるだけで、機械は番号で探すからです。

DNS はインターネットの電話帳。Cloudflare はその電話帳の管理と、電話の中継まで引き受けてくれる存在です。

DNS(ドメインネームシステム)が「電話帳」だとすると、Cloudflare にサイトを取り込むと、あなたのサイトの電話帳を Cloudflare が管理するようになります。さらに Cloudflare は単なる住所案内所ではなく、リバースプロキシ——つまり来訪者とあなたのサーバーのあいだに立って中継する「窓口」——としても機能します。

02  仕組み:DNS プロバイダとしての Cloudflare

サイトを Cloudflare へ移行すると、Cloudflare がそのドメインの一次権威 DNS プロバイダになります。権威 DNS とは「このドメインの正しい住所情報はこちら」という最終的な答え合わせ役のことです。質問(DNS クエリ)が来ると、Cloudflare があなたのサイトに代わって答えます。

ここで重要なのが proxied(プロキシ付き) という設定です。DNS レコードにこのフラグがついている場合、訪問者はあなたのサーバーの本当の IP アドレスではなく、Cloudflare の anycast IP アドレスを受け取ります。

1
訪問者がサイトへアクセスする
ブラウザが「このドメインの住所は?」と DNS を問い合わせます。電話帳に当たる作業です。
2
Cloudflare が「自社の住所」を返す
レコードが proxied なら、元のサーバー(オリジン)の IP ではなく anycast IP を返します。anycast とは、世界中のデータセンターが同じ電話番号を持つ仕組みで、最も近い拠点に自動で接続されます。
3
Cloudflare 経由で元のサーバーへ届く
リクエストは Cloudflare のネットワークを通り、そこからあなたのオリジン・サーバーに中継されます。この「間に入る」ことで、攻撃防御と高速化が同時に実現します。

03  リバースプロキシがもたらす 4 つの利点

Cloudflare が「窓口」として立ってくれることで、元のサーバーは本来の仕事だけに集中できるようになります。公式ドキュメントが挙げる主な効果はこの 4 つです。

Load Balancing

負荷分散

入ってくるアクセスを複数のサーバーへ均等に振り分け、一台が詰まりすぎるのを防ぎます。一台が倒れても残りのサーバーが引き継いで動きます。

Protection

攻撃からの保護

元のサーバーの IP アドレスを外部に晒さなくなるため、DDoS などの狙い撃ちが難しくなります。攻撃者がぶつかるのは、備えがついた Cloudflare のネットワーク側です。

Caching

キャッシュ(高速化)

例: パリ訪問者がロサンゼルスのサーバーを持つサイトを見ると、実際にはパリ近郊の Cloudflare サーバーが応答します。一度取り込んだ内容をその場で保存し、次のパリからの訪問者にはほぼ待たずに表示されます。

SSL / TLS

暗号化の代行

HTTPS の暗号化・復号は計算コストが高く、元のサーバーを疲れさせます。Cloudflare が「入りの復号」「出の暗号化」を引き受けることで、サーバーのリソースを節約します。

04  トラフィックの流れ:on-ramp と off-ramp

Cloudflare のネットワークに入り込む流れを on-ramping(進入)、出ていく流れを off-ramping(退出)と呼びます(ingress / egress と同じ意味)。この区別がわかると、各製品が「どの地点で効いているか」が見えてきます。

製品役割(素人向けに言い換えると)
Anycast ルーティング進入 同じ IP を世界中の拠点で共有し、最寄りのデータセンターへ自動ルーティングする。混雑や DDoS でも耐性がある。
DNS ベースの進入進入 2 章で説明した仕組み。ドメイン解決が Cloudflare のグローバルネットワークに向くようにする。
Cloudflare Tunnel進入 公開 IP がない内部アプリも Cloudflare に接続できる。外部から直接叩かれない設計のプライベートなトンネル。
Magic Transit進入 オンプレミス・クラウド・ハイブリッド環境全体への IP パケットを受け取り、処理してから元に戻す DDoS 防御・加速。
Cloudflare One Client進入 社員の端末から Cloudflare へ安全に送り、接続前に端末の健全性(Zero Trust ポリシー)をチェックする。
Argo Smart Routing退出 リアルタイムのネットワーク状況を感知し、混雑を避けて最も効率的な経路で送る。
Cache(キャッシュ)退出 遠くのオリジンにまで出さず、Cloudflare のネットワーク上で直接応答して待ち時間を短縮する。
Regional Services退出 どの地域のデータセンターが HTTPS を復号・処理するか選べる。地域別コンプライアンス(データローカライゼーション)対応に。
補足: 例として、インドにいる社員が頻繁に出張する場合は「退出は常にインド側にする」ように設定でき、訪問先の Web サイトが言語や地域設定を維持したまま表示されます。逆に国内法でデータが出せない場合も、on-ramp / off-ramp を同じ地域のサーバーに固定できます。

05  覚えておくと便利な用語集

用語ひとこと解説
DNSドメイン名を IP アドレスに変換する「電話帳」。Cloudflare がこの電話帳の管理も引き受けます。
Anycast(エニーキャスト)世界中の拠点に同じ IPを割り当てる技術。最も近いサーバーへ自動で届くため、高速かつ耐障害性が高い。
リバースプロキシWeb サーバーの前に立って中継する窓口。セキュリティ・性能・信頼性をまとめて底上げします。
オリジン(Origin)あなたのサイトが実際に置かれている元のサーバーのこと。「本家」と思って大丈夫です。
Proxied / DNS onlyDNS レコードごとの設定。proxied = Cloudflare を通す / DNS only = 住所案内のみ(直接接続)。
DDoS 攻撃大量のアクセスでサーバーを押し潰そうとする攻撃。Cloudflare のネットワークが先で受けることで、オリジンを保護します。
CDN(コンテンツ配信ネットワーク)世界中に分散したキャッシュ拠点からファイルを届けて高速化する仕組み。Cloudflare の中心的な役割の一つです。

06  まとめ:素人として押さえるべき 1 行

「Cloudflare は、あなたのサイトの住所案内(DNS)と中継窓口(プロキシ)を世界規模で引き受けてくれるサービス。だから速く・安全になる。」
Before

Cloudflare 使用前

訪問者はあなたのサーバーの IP を直接見て、遠くても近くでも同じ距離を走る。攻撃もそのままサーバーに届く。

After

Cloudflare 使用後

訪問者は最寄りの Cloudflare 拠点へ。キャッシュで高速応答、攻撃は備えたネットワーク側で受ける。

07  出典(Cloudflare 公式ドキュメント · Fundamentals)